相続放棄の期限は3か月|手続き・必要書類・費用を弁護士が解説
執筆:弁護士 三浦正人(神奈川県弁護士会)|公開:2026年8月28日
ある日突然、疎遠だった親族の債権者から通知が届いた——。相続放棄のご相談は、たいていそんな場面から始まります。そしてこの手続には、「3か月」という時計が最初から動いています。
【要点】相続放棄は、自分が相続人になったことを知った時から原則3か月以内に、家庭裁判所へ「申述」する必要があります(民法915条1項)。申述先は亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所。費用は収入印紙800円と郵便切手のみです。期限が迫っている・過ぎたかもしれない場合でも、対処の余地がありますので早急にご相談ください。
相続放棄とは|借金も財産も、すべて引き継がない選択
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされ、亡くなった方(被相続人)の借金を引き継がない代わりに、預貯金や不動産などのプラスの財産も一切受け取れなくなります。「親に借金があったらしい」「疎遠だった親族の債権者から通知が来た」というときに検討する手続です。
重要なのは、家庭裁判所への申述が必要だという点です。他の相続人に「私は要らない」と伝えただけ、遺産分割協議で取り分をゼロにしただけでは、債権者との関係では相続放棄になりません。借金から逃れるには必ず裁判所の手続を踏んでください。
期限|「知った時」から3か月
期限の起算点は「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。通常は亡くなったことを知った日ですが、疎遠な親族の場合は死亡を後から知ることも多く、その場合は知った日から3か月です。また、先順位の相続人(子など)が全員放棄すると次順位(親、そして兄弟姉妹)に相続権が移るため、「自分が相続人になったと知った時」が起算点になります。
3か月以内に判断できない事情がある場合は、家庭裁判所に期間伸長の申立てをすることもできます。財産調査に時間がかかりそうなときの有効な手段です。
手続きの流れ・必要書類・費用
| 申述先 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所(例:最後の住所が平塚市なら横浜家庭裁判所小田原支部) |
| 費用 | 収入印紙800円(申述人1人につき)+連絡用郵便切手 |
| 主な書類 | 相続放棄申述書、被相続人の住民票除票(または戸籍附票)、申述人の戸籍謄本、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 など(続柄により追加の戸籍が必要) |
| その後 | 裁判所から照会書が届く→回答を返送→受理されると「相続放棄申述受理通知書」が届く。債権者にはこの通知書(または受理証明書)の写しを示せば、支払義務がないことを説明できます |
やってはいけないこと|単純承認とみなされる行為
- 被相続人の預貯金を引き出して使う・自分の口座に移す
- 財産(車・貴金属など)を売却・譲渡する
- 被相続人宛ての請求を相続財産から支払う(自分の財産から支払う分には原則問題ありません)
これらは相続財産の「処分」として単純承認とみなされ(民法921条)、相続放棄ができなくなるおそれがあります。放棄を検討している間は、財産に手を付けないのが鉄則です。
こんなときは弁護士へ
- 3か月の期限が迫っている・過ぎているかもしれない
- 借金がいくらあるのか分からず、放棄すべきか判断できない
- 債権者から督促が来ていて、対応の仕方が分からない
- 他の相続人との関係も整理したい(全員で放棄する場合の順序など)
平塚の相続放棄・相続のご相談・ご予約(期限が迫っている方は優先対応します)
0463-59-9963
三浦総合法律事務所(平塚駅西口徒歩1分)|弁護士 三浦正人
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よくあるご質問
- Q. 3か月の期限を過ぎてしまったら、もう無理ですか?
- A. あきらめるのは早いです。借金の存在を後から知った場合などには、そこから3か月と扱われる余地があります。事情の説明が重要なので、弁護士にご相談ください。
- Q. 相続放棄をすると生命保険金も受け取れませんか?
- A. 受取人があなたに指定されている保険金は受取人固有の権利であり、原則として受け取れます。
- Q. 亡くなった親の家の片付けをしても大丈夫ですか?
- A. 財産の処分と評価される行為は単純承認とみなされるおそれがあります。放棄を決める前の処分は控えてください。
執筆:弁護士 三浦正人(神奈川県弁護士会/三浦総合法律事務所・JR平塚駅西口徒歩1分)
本コラムは一般的な情報のご案内です。個別の事案の見通しは、ご相談のうえでお伝えします。記載の法令・運用は2026年8月時点の情報です。